介護老人保健施設(老健)は要介護者が在宅復帰を目的にリハビリを行う施設ですが、ターミナルケアも実施しています。
ターミナルケアは終末期の利用者さんに対して苦痛を和らげ、やすらかに人としての終末を迎えることを心がけています。
4年前から毎月3泊4日当施設のショートステイを利用されていたAさん(男性)がいました。
娘さんと2人暮らしで介護負担の軽減のために利用されていました。
Aさんは階段昇降が見守りでできるほど、ADLが高かったのですが、ふらつくようになりました。
日中もトイレ以外はベッド上で過ごすことが多くなりました。
私たちが自宅まで状態確認に行った際には活気がなく話しかけても返答がほとんどありませんでした。
今回はショートステイではなく3ヶ月ほど入所してADLを向上させることを予定していました。
入所日まで決まっていたのですが、前日に酸素飽和度が低下し救急搬送され肺炎の診断で入院になりました。
治療後も痰吸引が必要になり、食事摂取量も少なく、自宅介護が困難な状態になりターミナルケア目的で等施設に入所となりました。
老健は多機能な施設であることを皆さんに知っていただきたいです。
在宅での生活を1日でも長く継続するためにデイケア(通所リハビリテーション)、ショートステイ(短期入所療養介護)のサービスがあります。
集中してリハビリが必要になれば入所サービスを利用し、在宅に復帰してからデイケア、ショートステイを利用するという生活を繰り返すことができます。
歳を重ねて終末期を迎える際には老健に入所して慣れている環境でターミナルケアを受けることもできます。
2023年4月19日、厚生労働省は来年度に控える介護報酬改正に向け介護施設の医療体制の強化についてとり上げました。
ターミナルケアも含めて高齢者施設に対する医療ニーズが高まり対応力の向上が求められているとのことです。
老健、特養、有料老人ホームなどの特性を考慮して現場の実情に合った有効な手を打つことが課題になっています。
当施設でも夜間の看護師の数が少なく手厚く対応できているとは言えない状況です。
職員の配置人数や他の医療機関との連携強化を検討していただきたいです。
老健でもターミナルケアができるということをたくさんの方々に知っていただけるように地域活動に取り組んでいきたいと思います。
より一層、ご家族、ご本人の意向に沿ってターミナルケアを実施し、やすらかに終末が迎えられるように対応力の向上を支援相談員の視点からも考え、できることを行っていきたいと思います。
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