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最善の結果に導くための説得の技術「影響力の武器 実践編」

文献

社会福祉士として介護老人保健施設(老健)で相談業務に従事しています。

相談業務では相手を説得する場面が多々あります。

もちろん支援の主役は利用者さんなので、相談員の私の意見を無理に押し付けるわけにはいきません。

利用者さんのために1番考えて行動するのはご家族です。

ご家族が明らかに間違った方向に進んでいるなと感じた時には専門職としてアドバイスし、軌道修正の手助けをします。

情けないですが、自分には説得力がありません。

経験年数は10年を超えているのですが、背が低くて声が高くてよくどもってしまいます。

もっと専門職として堂々としていないと相談者を不安にさせてしまうのはわかっているのですが、難しいです。

私からのアドバイスを信用してもらうために、説得の技術を身につけたいと思いこの本を選びました。

影響力の武器 実践編「イエス」を引き出す50の秘訣(誠信書房)です。

ロングセラーとなった「影響力の武器」の実践編です。

すぐに実践したいと思い、前作より先に実践編を購入しました。

影響力があるオフィス用品として「ポストイット」が取り上げられていました。

あのよく目にする黄色い付箋です。

付箋にメッセージを書いた場合の方が相手にこちらのお願いを聞いてもらえるということが実験を通して証明されています。

なぜでしょうか??

付箋にメッセージを書いて貼り付けることは大した手間ではありません。

しかし、受け取り側はその手間と心遣いに報いようとするのです。

受け取った分だけ返さないといけないと考える返報性の原理が働いた結果です。

私の経験でも思い当たることがありました。

利用者さんの奥さんに手紙を送った際に、パソコンで作成したお知らせに、小さな便箋に三行の短い手紙を書いて一緒に送りました。

今までパソコンで作成したお知らせだけでは、全く読んでもらえなかったため、どうにか読んでもらおうと考えたのです。

すると、この奥さんは施設まで来て「お知らせ読みましたよ」と報告して下さいました。

返報性の原理は人間関係を築き仕事をスムーズに進めるのに役立ちます。

機長症候群の教訓にも共感しました。

周囲の人からその場で最も経験豊富だと思われるのは危険なことです。

リーダーの地位や専門性が高いために周囲が盲従してしまい、リーダーが判断を誤って悲劇を招いてしまう行動パターンが機長症候群です。

チームのリーダーに盲従してしまうのは福祉の現場でもよくあることです。

研修で老健の専門職の地位はドーナツ型だと学びました。

医師、看護師、介護士、相談員、栄養士などの専門職に上下関係はなく、ドーナツの真ん中に位置する利用者さんの支援を行うとのことでした。

しかし、実際には最も影響力があり力関係が上なのは医師です。

医師の判断で看護師がおかしいなと感じていたとしても「先生が判断したことなら正しい」と考えてしまいます。

医師だって判断を見誤ることはあります。

普段利用者さんの1番近くで関わっている看護師、介護士などが医師に遠慮なく意見できる環境が理想だと思います。

私も医師に自分の意見を伝えた際に「事務員のくせに」と怒られたことがあります。

しかし、支援相談員の立場からの考えも伝えることが利用者さんのためになるので、これからも意見はしていきたいと思います。

利用者さん、家族さんを最終的に一番良い状態に導くために説得の技術を身につけたいと思っています。

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